初心者にとっての棋譜並べ

上達には詰将棋・実戦・棋譜並べと確かモリノブ先生が言っていたような。
しかし、プロ(およびプロを目指す人)にとって、棋譜並べとは「棋譜を覚えつつ自分で検討しつつ」ということを意味するようです。
初心者に出来るのは文字通り符号を追って駒を動かすだけで、プロのいう「勉強としての棋譜並べ」とは全く違うように思います。
なので初心者に棋譜並べは意味ない!と言われます。

自分は初心者なのに棋譜並べが好きなので、初心者にとっての効用を語ってみようと思います。

  • 手筋に含まれない基本の基本がわかる

駒の手筋が載ってる本は多いけれど「動けない駒を攻める」「取られそうな駒につないで受ける」というような本当に基本の基本について語ってる本は、以前はありませんでした。(今はあるけれど。)普通、上手い人と戦う経験を通して気がつくのでしょうが、自分の場合、棋譜を並べていて「あ、そういうものなのか!?」と気がつきました。

  • 理想的な1局の流れを体験できる

いかに振り飛車が最初に振った筋にそのままいることがないか、逆に居飛車の飛車がそのままの場所でも終盤の守りにいかに効いてくるか、美濃がそのままの形で終盤までいることがないか、定跡から外れてどう戦いが進んでいくか、攻めの手がかりを残すことが大事か、といったものを見ることができます。

  • 角の利きのうっかりが減る

プロは(間接的なものも含め)角の利きを活かして攻めを組み立てていることが多く、自分の読みを詳しく書いた系の自戦記だとだいたいそれに触れてる気が。それを見て常に角の利きを使うことを考えるようになったらウッカリが減りました。

  • 時間が自由

棋譜並べでなくプロ棋戦観戦でも似たような効用がありそうですが、動画を見るのと違って、いくらでも好きなペースで進めることができます。じっくり考えてもよし、すごい速さで並べてもよし。自分の場合、単に並べるだけの場合が多いです。考えるときには序中盤は飛ばして、終盤になったら4手一組とかで並べてその次の手を考えるとかしてます。

こんな感じで、実戦を指していたら自然に身につくようなことが全く身につかなくて全然上達しないタイプの初心者にとっては、棋譜並べは役に立つこともあるのではないかと思ってます。並べても覚えないので、プロのいう「棋譜並べ」とは別の活動になってる気がしますが。ただ効率悪いことは確かだと思うので、普通に実戦や定跡書で上達できるならその方が良いような気がします。それでも、プロ棋士ファンには棋譜を並べること自体が(将棋の理解度に関わらず)楽しみなんですけどね。